不動産投資でカギになるリフォームやリノベーションのポイントを解説

不動産投資でカギになるリフォームやリノベーションのポイントを解説

賃貸物件を選ぶ際、利便性や生活環境などの立地条件はもちろんのこと、住む部屋自体の快適さも重要な要素です。せっかくの駅近物件だったとしても、キッチンや浴室が古いことで選択肢から外されてしまうこともありえます。さらに、プラスアルファのメリットとなる設備を追加することで、家賃だけでなく入居率そのものの向上を見込める可能性も出てくるでしょう。ここでは、不動産投資のカギとなるリフォームやリノベーションのポイントを見ていきます。
この記事はINOVE(イノベ)が提供しています。INOVEは第一住建グループが運営する新しい不動産総合サービスです。

不動産投資でリフォームを検討するタイミングとは

賃借人に部屋を貸している不動産投資では、リフォームをいつでも行うことができるわけではありません。「リフォームを“すべき”タイミング」と「リフォームが“できる”タイミング」をしっかりと把握して、計画を立てることが必要です。

 

リフォームを検討するタイミング

1つのタイミングとしては「水回りなどの設備が更新期を迎えるタイミングから逆算して想定したスパン」です。多くの設備は築後10年と、その後12年の周期が一つの目安になります。また給湯器などは10〜15年で故障の可能性が高くなり、トイレや浴室なども20年程度の周期で老朽化が目立つようになるため、それぞれのタイミングでも検討が必要です。
もう1つのタイミングが「入居者が退去した時」です。稼働していた期間などでリフォームを行うべき対象は異なりますが、この段階でしっかりとチェックすることが理想といえるでしょう。このタイミングを逸してしまうと、数年間はリフォームができない可能性があります。損傷や経年劣化をしっかりと確認して、適切なリフォームを行いましょう。

一棟マンションや戸建は内装・外観ともにチェック

建物自体の管理が必要な一棟マンションや戸建賃貸の場合では、内装とともに外観や軀体の劣化などをチェックしましょう。
こちらも築後10年と、その後12年のスパンで建物の不具合の確認をするのがベターです。築後10年程度では屋根や外壁の経年劣化が進んでいる可能性は低いものの、台風などで損傷している箇所が見つかるケースも少なくありません。また、外壁の目地を埋めるコーキングなどは環境によっては10年程度で劣化が見られる可能性があります。
外部のリフォームは足場を組む必要が生じるなど、内装のリフォームに比べて大きな費用と長い期間を要する可能性が高いため、この周期でしっかりとチェックして計画を立てることが重要です。

参考:リノベーションによる空室対策
参考:ファミリー物件 リノベーション事例

 

優先してリフォームしたい5つの箇所の費用相場

家賃の上昇や入居率の向上などの効果が見込めるリフォームですが、比較的大きな資金が必要です。やみくもな投資で利回りが低下しては本末転倒になってしまいます。費用対効果を見極め、優先順位を定めた上で進める必要があります。

①キッチンのリフォーム

キッチンは入居者が部屋を選ぶ際に重要視する可能性の高い設備の一つです。ファミリー向けの物件では特に重視すべきポイントといえます。
人気はシンクやコンロ、レンジフード、収納設備などが一体化されたシステムキッチンです。システムキッチン以外は選択肢から外されてしまう可能性もあるほどの人気を獲得しています。
システムキッチンの交換はグレードを抑えたとしても50〜100万円程度の予算を見込む必要があるため、費用対効果を考えてリフォームを検討すべきでしょう。キッチンの中でも傷みが目立つのはコンロやレンジフードのため、これらの交換に留めて費用を抑えるという方法もあります。

②浴室のリフォーム

現在の浴室といえば、ほぼユニットバスを指すと考えられます。このため、仮に古いお風呂をリフォームするとした場合でも、ユニットバスへの交換が有力な選択肢となるでしょう。ユニットバスは浴室の浴槽やシャワーはもちろん、壁や床までがすべてセットとなった製品で、リフォームの際はこれらすべてを一括して交換することになります。
このため浴室のリフォームは総じて高額となりがちです。キッチンと同様、想定予算はグレードを抑えたとしても50〜100万円程度となります。単純に新しい浴室に替えるだけでなく、浴室乾燥機や全自動給湯・保温設備など、付加価値をつけられる全面リフォームも合わせて検討しましょう。

③トイレのリフォーム

トイレが古いということが部屋全体の印象の悪化にもつながりかねないため、積極的にリフォームを検討したい設備です。
浄化槽を下水道に替えるような大規模な排水設備の改修を伴わなければ、トイレのリフォームの相場は10〜20万円程度となります。せっかくリフォームするのであれば、温水洗浄便座や消臭機能などの付加価値を加えることも検討しましょう。特に温水洗浄は、後の空室を減らすための施策として重要な要素と捉えられることが多いです。

④床の貼り替え

床は部屋全体の表情に影響を与えるため、効果の高いリフォームの一つです。
しかし、部屋全体のフローリングを張り替えるとなるとある程度の予算を見込む必要があります。
6畳の部屋でフローリングを張り替える費用相場は10〜25万円程度です。しかし、現況や下地の施工によって費用の幅は大きくなります。また、マンションでは管理規約によって使用できる防音性能の基準が定められているケースが多く、10〜20%ほど割高になる可能性があります。

⑤クロスの貼り替え

クロスは費用対効果が高いリフォームの一つで、空室となったタイミングで積極的に検討したいものといえます。配置されていた家具などの影響で日焼けや汚れによる壁紙の色の変化にムラが生じますので、これによって部屋の印象を悪化させかねません。
使用するクロスの質によっても金額はさまざまですが、部屋の面積×3.6×1,400円ほどの金額が一つの目安となります。

 

欠点を補うリフォームと資産価値を向上させるリノベーション

「リフォーム」と「リノベーション」とは、それぞれ似て非なる言葉として使われます。
リフォームは建物の改修や設備の交換などにより、劣化した部分を補修したり機能を回復したりするといった「欠点を補う」という意味で用いられます。
これに対しリノベーションは、新たな価値を加える改装工事や設備の更新を意味し、間取りの変更なども含め「時代に合った物件にアップデートする」という意味をもっています。

リノベーションは長期的な資産価値向上につながる

リノベーションによって建物の価値を高めることは、長期的な資産価値の向上につながります。とはいえ、「1,500万円の物件に500万円掛けてリノベーションを施したら2,000万円の価値になる」という単純な図式ではありません。
建物の価値は完成からの期間に応じて減価償却により価値が減少していきます。法定耐用年数は木造であれば22年、マンションなど鉄筋コンクリート造の建物であれば47年と定められており、その期間が経過すれば税法上の価値はゼロとなります。不動産の査定をする際、法定耐用年数は一つの目安にすぎませんが、ある程度の期間を過ぎたころから資産価値が下がりにくくなるなど、耐用年数に応じた動きを見せる傾向があります。
実際には築47年で良好なコンディションを保っているマンションも数多くありますが、リノベーションによって以後も継続した収益を得られるだけでなく、売却の際にも査定額が向上する可能性が生まれます。

リノベーションで収益アップした実例

リノベーションが収益に直結する事例は少なくありません。
INOVEを運営する第一住建の賃貸物件リノベーションでは、新大阪にある単身者向けマンションのリノベーションでは、「収納力の向上」という視点で20万円の改修費用を投じ、室内や洗濯機置き場、トイレの収納を見直して従来から収納量を3.3倍に拡大しました。これが強みとなって家賃は5万4,000円から5万9,000円に5,000円アップ。入居者も募集開始から2週間で決まっています。結果としてこの投資は、表面利回り30%という効果を生み出しています。

リフォーム費用を回収できるかシミュレーションする

リフォームによって物件の価値が上がり、家賃収入の増加を見込むことはできます。
しかし、リフォーム自体も一定の投資を要するため、リターンをしっかりと試算し、リフォーム分の費用を支払う価値があるかどうか見極める必要があります。
物件価格とリフォームに要する費用を合算した総額を分母に利回りを引き直し、リフォーム費用を回収できるかを事前にシミュレートすることが不可欠です。

リフォーム後2桁の利回りを確保したい

都心など土地に要するコストが極端に高いエリアを除けば、一つの目標とされる目安は「リフォーム費用も加味した物件総額を基準にリフォーム後に2桁の利回りを確保する」ことです。既存の物件をリフォームして賃貸需要に合致させることができれば、家賃の額だけでなく稼働率の向上にもつながる可能性があります。このためリフォームの検討の際には、競合物件と比較した際の「物件の強みと弱み」を正確に把握することがカギとなります。

シミュレーションの計算式

リフォーム費用を含めた物件の表面利回りは以下の式で計算することができます。
年間家賃収入 ÷(物件価格 + リフォーム費用)×100
すでに運用している物件にリフォームという形で新たな投資をするケースでは、以下の2つの計算式からシミュレーションをする必要があります。

① 年間家賃差額 (リフォーム後の家賃収入- リフォーム前の家賃収入)÷ リフォーム費用 × 100
② リフォーム後の想定年間家賃収入 ÷[(物件価格-収益) + リフォーム費用]× 100

この2つの式からリフォームの効果を検証することで、どれだけの投資効果があるかを判断する材料となります。仮に大きな家賃上昇が見込めなくても、空室対策としてリフォームを行うケースもあるでしょう。不動産投資における最大のリスクは空室です。計算式だけでは稼働率を見極めることは困難ですが、リフォームを検討する際にはしっかりと考慮に入れておきたい部分といえます。

安くリフォーム・リノベーションをする2つの方法

リフォーム・リノベーションの投資効果を高めるためには、それに掛かるコスト自体を抑制することも大切です。それをできるだけ安く抑える方法として、「相見積もり」と「発注時期の考慮」という2つが有効だと考えられています。

①複数のリフォーム業者から見積もりをもらう

「相見積もり」とは、複数の業者から見積もりをもらうことを指します。
効率的に価格を比較することができるだけでなく「競合がある」ということを示すことで同じ条件でも安い価格を提示される可能性があります。ただ無策に多くの業者を競合させるのは非効率ですので、3社程度に留め、同一の条件で見積もりを取るのが基本です。床の防音性能や使用する設備のグレードなど、できるだけ詳細に伝えた方が正確に比較することができます。業者によっては「一式」とだけ金額が記載されているケースもありますが、この場合は最低でも使用する設備や材料を明確に示してもらえるように伝えましょう。

②リフォーム業者の繁忙期を避ける

1年のうち最も不動産の流動性の高い時期は3〜4月と9〜10月と言われており、リフォーム業界における繁忙期もおおむねそれに合致します。
ただ、リフォーム業界では施工期間を考慮する必要があるためもう少し幅があり、一般的に3〜5月と9〜12月が繁忙期にあたります。需給のバランスによって繁忙期は施工費用を抑えることが難しいため、これを避けて発注するのが望ましいでしょう。

リフォーム・リノベーションのためのローンもある

部屋全体を大きくリノベーションする場合など、数百万円単位の資金を必要とするケースも少なくありません。一般的にリフォームローンといえば自己居住用の住宅を対象としたものがほとんどですが、クレディセゾンなど一部の金融機関では、投資物件にも利用可能なリフォームローンを取り扱っています。不動産賃貸経営は日本政策金融公庫の一般貸付の対象となりますし、資金使途に制限のない不動産担保ローンなどの利用も可能です。
リフォームという名目に固執せず、これらのローン商品を比較検討してみましょう。

修繕費用はすべて経費計上できるとは限らない

不動産投資における支出の中でも、比較的大きな費用を要するのがリフォームに関するものとなります。税金対策という側面から見れば経費計上したいところですが、リフォーム費用は必ずしも全額を計上できるわけではありません。内容によっては資産として計上しなければならない可能性があります。

修繕費なのか資本的支出なのかを確認しよう

国税庁のHPには、以下のように記載されています。

「固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は、修繕費として支出した時に損金算入が認められます。ただし、その修理、改良等が固定資産の使用可能期間を延長させ、または価値を増加させるものである場合は、その延長および増加させる部分に対応する金額は、修繕費とはならず、資本的支出となります」
※国税庁WEBサイトより抜粋

つまり、単に損傷箇所を修復したようなケース(リフォーム)は修繕費として認められるものの、リノベーションにより資産的価値が増加した場合は「資本的支出」となり、その分は損金に計上できないということです。
この場合は価値が増した部分を資産として計上し、改めて減価償却をする必要が生じます。
ただし「1つの金額が20万円未満の場合やおおむね3年以内の周期で行われる修理などの場合は修繕費とすることができる」といったルールもあるため、これらを踏まえて経費となるか資産となるかをしっかりと判断する必要があります。

融資の面では資本的支出が有利になる

一方で、融資を受けてリフォームをするケースでは審査のスコアリング上、資本的支出の方が有利になる可能性が高いといえます。融資対象が経費として計上ができるものは収益的支出のものと判断される一方で、資産とされる部分は現存価値が認められる投資と認識されるためです。このため一時的な節税効果は劣るものの、総合的には資産価値を増加させるリノベーションが有利となる可能性があることを覚えておきましょう。

不動産投資のことなら不動産のプロに相談しよう

長期に安定した賃貸経営をしていくには、適切な内容とタイミングでリフォームやリノベーションを行うことが不可欠です。しかし、賃料や稼働率に与えるインパクトを考慮したリフォーム内容の決定や工事を行うべきタイミング、税制をも踏まえた出納管理など、さまざまな専門知識を必要とする不動産経営を1人の力で行うことは極めて困難だといえます。
それぞれの場面で最善の判断を下すためには不動産賃貸経営に精通したプロの専門知識が欠かせません。不動産投資に興味を持ったら、まずは信頼できる不動産会社を見つけましょう。

 

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